50代の頃からである。老化の兆候を覚えた、感じるようになったなどと自虐的な言葉をごく軽い気持ちで用い、文章にも使ってきた。友人からも同じような意味の言葉を聞いた覚えがある。思い起こすと、当時はそれほどの身体的衰えがあったとは考えられない。それでも身体が衰えていく微かな予兆を思い、甘えに似た感情から自分自身の変容を考え、老化という言葉で表現していたのかもしれない。
 クラスの皆が70歳を過ぎてしまった。
 平成24年5月26日(土)、ホテルメトロポリタン・高崎に於いて4年ぶりの不惑会クラス会を催した。20名から出席できないとの返事を受け取った。返信の内容は医療からの引退、ゴルフができなくなった、体力が低下したなどから昨今は具体的身体的訴えに変わった。がん闘病中、在宅酸素、寝たきり、リハビリ中、ACSとなり救急車で運ばれた、股関節の再手術などなど。中には複数の病に侵された者もいる。思わず考え込んでしまう。ここに集まった29名のうち、薬と縁のない者は果たして何人いるのだろう。白内障、ステント、バイパス、ポリペクトミーなどの言葉が会場で飛び交っている。我々は日常の中で老化の意味を知る領域に入った。
 平成23年には木村祥子さんを、本年6月には宮良当益君を失い、既に7名の友人を亡くした。
 それでも旧友の懐かしい姿を目にして、集まった"じじばばばかり"の29名は楽しそうに好い表情を浮かべ、談笑をしていた。同窓会でしか存在し得ない、至福の時を味わっていたのだろう。
 古希をはさみ、前回のクラス会から4年間過ぎた。この間にクラスの老化は一気に進行した。自分達は故障しがちの、この古くなった体の中でしか生きられない、後戻りはできないのだ、と実感する。
 現状を確認し先が見えたせいなのだろう、焦っているのかもしれない、クラス会を毎年開こうなどという声があちこちで挙がった。案の定、俺が幹事役を引き受けてやる、などという声は一つもない。
 毎度、これが最後のクラス会と考えている。今回もそうである。
 細々と続いている不惑会ゴルフコンペを温床にして、また、"じじばばばかり"の最後のクラス会は数年後に開かれるのでしょう。
 学生時代の姿に無邪気に歳を戴せた顔を見ながら、青春の残り香を楽しんだ。
 






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